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デンマーク2019-1 幸せとCO2

2019年5月31日(金)Husetのエコ, デンマーク, 北欧家具・インテリア・北欧雑貨, 旅行記

火曜日から弾丸でやってきた今年のデンマーク研修。
世界のトレンドに触れ、自分たちの立ち位置を確認するために
大切にしている時間のひとつです。
長期間の不在でご迷惑をおかけしますが、どうかご理解ください!!

まずは設計事務所から。
訪問させていただいたHolmgaard設計事務所は、
環境デザイン、構造計算、設備設計、ドローン撮影までできる電気設備など、
約30名のスタッフがそろっています。

どの会社を訪問してもそうなのですが、デンマークはいつも美しい。
片付いているばかりではなく、
家と同じように人が集う場所にある、物や心の温かさが感じられます。
デンマーク流ミーティングセットもこんなに素敵です。

■建築と温暖化

そもそも、世界のCO2排出量の40%が建築からと言われており、
うち半分が冷暖房、残り半分が建設時。
よって建築分野が意識を高めることは、温暖化抑制にとても効果があります。
ちなみに、日本はCO2排出量は
中国、アメリカ、インド、ロシアに続き世界でなんと5位。
6位以下は排出量に大きな差はなく、当然北欧諸国はずーーーっと下。
この話が出るたびに情けなくなります・・・。

■デンマークのリノベ事情

新築、リノベーション比率が半分ずつくらいです。
2020年の国連目標に向かい建築基準が徐々に厳しくなるので、
断熱はもちろん、換気システム、設備交換などのエネルギーリノベーションは欠かせません。
中でも今、炭素固定や、LCCの観点から
デンマークで大きく注目されているのが木造建築なんだそうです。
また、古い建物の外部改修は役所が管理しながら、
街の調和も大切にされているそうです。

■デンマークの公営住宅建築プロジェクト

今回は、日本でいうところのUR、
公営住宅の建築計画コンペで採用されたというプロジェクトをご紹介いただきました。

このプロジェクトは競争入札ではなく、
設計、ゼネコン、コンサルなどが早い段階からチームを組み、
企画段階から無駄のないプロジェクト進行ができるようになっています。
企画全体でコストコントロールがなされ、かつ各分野での手戻りが少なく、
予算内でのベストプランを検討できるというもの。
こういったプロセスからも、
人、時間、エネルギーの削減が進んでいると感じられます。

この設計事務所が得意とするモジュールの組み合わせで考える集合住宅は、
CTR(Cross-Laminated- Timber)の構造からなり、
ローコスト賃貸住宅にもかかわらず、断熱層は290mm。
エアコンは使わず熱交換換気と、電気式のヒーターで暖を取る仕組みです。
間仕切り壁は住む人のリクエストによって設置可能で、
住まい手によって可変性があるというもの。
性能は落とさず、維持、リユースを可能とする素材選定でした。
見方によってはかなりラフです。

格差なく、持続可能で、環境へも配慮するというSDGsへの取り組みは、
各国の価値観のもとで進められる面もあると思いますが、
デンマークと日本との優先順位の違いを見せつけられたようにも感じました。

■日本の実情

わたしが日本でいつか実現したい夢のひとつに、
建築分野からの福祉への貢献があります。

地球人のひとりである以上、
誰しもが地球を守る意識を持つべきですし、
とは言っても全員が自宅ですぐに対策が取れるかと言えばそうではない。
日本ではそれらの教育もまだまだ不十分ですので、
注文住宅を建てる人たちでさえ、
断熱は暑さ寒さ対策の一環として有効だと考えていても、
その半数は施工したいと思っていない、というデータがあります。
理由は、費用が高そうだから。
半数以上の人が冬場の光熱費アップに不満を抱え、
上がるとしても家が寒いので暖房器具をつけるのだといいます。

・・・こうして改めてテキストにするともはや支離滅裂。
だれのためにもなっていない家が建てられるという状況が続いてきた、
それが日本です。

■エネルギー問題に対する教育不足

健康面はもちろん、教育が不足しているからこそ、
子供が使う施設ほど断熱改修が必要です。
そこで過ごすことで、
自分たちの行動の意味を理解していけるのでは・・・

幼いころに教育が行き届かなかった世代も、
最後まで健康に、豊かな日々を過ごしていただき、
次世代にその空間を引き継ぐことがまた教育になっていくならば・・・
これからの医療費削減だけでなく、
高齢者施設や、田舎の古い住宅で耐える方たちへ、
思いを届けていくべきではないかと思うのです。

■コミュニティと「住む」という医療

このデンマークの公営住宅はもちろん、
デンマークの集合住宅には、
高齢者が孤立しないコミュニティをつくることにより、
老人ホームがいらない、という考えが取り入れられています。
またこのような公営住宅が提供されることにより、
低所得者などにも快適な住まいが行き届きます。

■日本人と時間 20190529

デンマークの夕食ミーティングでは必ず
「日本人の幸せ」がお題となり、
お酒も飲みながら、カジュアルに意見交換をしていきます。
これはつい最近、日本で友人と話していたトピックスでしたので、
内容をご紹介します。

日本はとても忙しい国で、それは都市部へ行くほどスピード感があります。
だから、その忙しさを補うために、日本人は道具を使います。
休めば治る風邪もドラッグストアで風邪薬を買う。
時間があれば家で作れる食事もコンビニでそろう。

すべては時間短縮。
短縮しなければならないほど、日々何かに追われている感覚が染みついていて、
ゆっくり食事をしながら幸せについて語ることなど、めったにない。
恥ずかしいからという意見もあるかもしれませんが、
何もないリゾート地で「はぁ~・・・」とため息が出てしまうとき、
「幸せ」というキーワードを用いていないだけで、
幸せを感じ、幸せについて考えているのだと思います。

忙しい日本人は、非日常的な時間でしか
幸せに気づきにくくなっているのではないでしょうか。

■日本人と幸せ

これまでの日本の教育では、
どうしても減点方式で考える機会が多かったように思います。
そのため急に「幸せですか?」と聞かれると、
慌てて、減点方式で確認しようとし、
可視化されやすい「物」の充足度で測ろうとしてします。
すると、簡単に「幸福度が低い」という答えが出てしまいます。

わたしたちは、環境に意識を向けるのと同時に、
まずは感じる感覚を磨き、
とてもシンプルな幸せに反応できるようになる必要があるのではないでしょうか。

幸せの原点になる「人がいる場所」に目が向けば、
居場所や時間を守りたくなるかもしれません。
するとその背景にある自然や、快適な空間のもつ価値が輝いて見えるかも。

自分たちが幸せでなければ
人のために幸せ活動をするのは心が疲れてしまいます。
自分たちの幸せに焦点を当て、
地球の幸せに目を向けて、
日本のCO2排出抑制が加速度的に進めば・・・理想的だなと思います。

★just in my opinion★

2019.05.29
naka