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2014Denmark-7  サステナビリティ

2014年10月30日(木)Husetのエコ, デンマーク, 旅行記

ひとえにサステナビリティと言っても、
それぞれの国や社会によって、重要となるポイントはことなります。
気候、経済、社会、環境・・・

今年は、デンマークのエネルギーコンサル会社を訪問し、
彼らのHead Office、そしてプロジェクトについてお話をお伺いしてきました。

【Ramboll】
Rambollは、1945年にコペンハーゲンで設立された会社で、
北欧を中心に、ビルや交通機関、環境、エネルギー施設など、
持続可能な建物のコンサルティングを行っている会社です。
デンマークでは、建築において意匠や構造設計と同じく重要なエネルギー設計についても、
計画の初期段階からコンサルティングが行われていることも多いそうです。
スタッフは世界20か国、200の事務所に1万人いて、
コペンハーゲンでは1600人が働いています。

2006年に建てられたRambollのHead Officeは、
外壁、そして室内の間仕切りもほぼすべてガラス張り、
そして中央の大きな吹抜け階段が特徴的です。

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これは、会社のEnergy Point=オープンコミュニケーションの場であり、
人が集まり、視覚的、感覚的に情報を共有する場でもあります。
吹抜けの手すりもバーカウンターの高さと合わせてあり、
どこにでも人が立ち止まり、話たりコーヒーを飲んだりするシーンが考えられています。

外壁はガラスのダブルスキン構造になっており、
夏は南側には外部ブラインドが日差しを遮ります。
防音効果も高く、外の音は全く気になりません。

そして驚きなのが、建物内に暖房設備やエアコンはなく、
熱交換式換気システムと、建物内に循環させている地下水によって、
夏は涼しく、冬は暖かく保たれているのです。
それによって、年間660tのCO2と、18,000KWの冷暖房費を削減しています。

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透明性とモチベーションの伝播を狙って、内部の間仕切り壁もガラスです。
自分の席は決まっておらず、
ミーティングルームもあちこちに設けられており、
気分によって好きな場所で作業ができるようになっています。

室内は、集中力が高まるようベースはニュートラルカラーで統一されていますが、
家具は80種類、70室の部屋は異なる家具でコーディネートされています。
足を運ぶ先々で少しずつスタイルの違うインテリアを体感できるのも、
気分を変えたり、インスピレーションのキッカケになったりするのかもしれません。

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勤務体制もフルタイムのフレックスだそうです。
会社側からの信用と、個人の自己管理のバランスが取れなければ実現できないシステムで、
一見自由なようですが、何をすべきか、どう働くか、
強い責任感と背中合わせのシビアな世界です。

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デンマークで建築をリードするのは、
1990年当初はエネルギー設計に10%、建築に90%でしたが、
2020年にはエネルギーに60%、建築に30%、特殊対応に10%と、
より設備設計に重点を置き、技術を縮小して簡素化することも考えられています。
そのため、こうしたエネルギーコンサル会社の存在がとても重要なのです。

また、2020年にはデンマークはパッシブレベルの省エネ性能が標準となります。
この建物は、2006年の建築当初の基準であった75kwh/㎡をクリアした50kwh/㎡なのですが、
それでも2020年には基準オーバーの建物ということになります。
こうした話だけでも、デンマークの厳しい省エネ基準と、
ロードマップに沿って社会が省エネ化に向かっていることを痛感します。

今回案内していただいたRambollは、
大規模建築のコンサルがメインの会社ではありましたが、
日本で個人の住宅を建てるにおいても、考えることは何も変わりありません。

大きな反対運動に参加することも大事。
でもわたしは住宅屋として、
そうした運動に参加した人たちが帰宅する家が
どれほどエネルギーを浪費しているのか、
意識を向けることに一石を投じる立場にあると考えています。

原発の問題と同じくらい、
エネルギーを浪費する建物が乱立していることも大きな問題だからです。

無理なくエネルギーを使わない暮らしができる家は、
意外とシンプルで明快で、むしろこれまで以上に自然だと、
Husetを訪ねてくださるお客様とともに、
少しずつ、実現していきたいと思います。

2014/10/3 naka