フーセットの家づくりBuild of Huset

初めてデンマークで訪問したH邸。

印象的な三角屋根のおうちのカーテンのない窓から、温かい夕食前の風景が見えました。
玄関に入るとすぐに、自然な温かさに包まれ、デンマークの家族の日常が広がっていました。
小さな子供がいて、おもちゃが散らかっているダイニング。でもその背景には、言い訳のない大人のインテリアが存在していました。

身の丈のスケール感、華美でない装飾、建築が空間のすべてを決定づけている、豪華な家具が完璧にそろっている、というわけでもありません。
バランスがよくそれぞれが上質で美しく、心地よく過ごそうという思いに溢れた、流れる時間すべてに色を感じるような、豊かさがありました。

日本にもきっとそんな風景はあったのだろうけれど、いつからこんなに遠いものになってしまったのだろうか。忘れていた、いや知らなかったと、ショックが大きすぎたあの日。 家族といると幸せ、それを口にするのが照れくさいとも思わない、「豊かに生きる」ことに強く感動したあの日、わたしは日本に帰り、北欧住宅をやるのだと胸に誓いました。

Design 北欧から学ぶ「住まい」

トレンドに左右されない、余白の美しい住まい

バランスのよい空間は、床壁天井が必要なボリュームで存在し、窓が切り取られるだけでも、凛とした美しさが宿ります。レイアウトを制約させない、ほど良い量の窓は、飾る余白を残し、光や風を通します。

また、遠い将来にも思いを馳せて、数字に踊らされない必要な広さを吟味し、空間を検討します。たとえ家具がなくても、そこに美しいシーンがあるならば、数十年後にまた、違う魅力を見せてくれるかもしれません。

窓をデザインする

風景を絵のように切り取る、という言い方をよく耳にしますが、窓はインテリアとして、そして居住性向上のためにも壁を切り取っています。

日光を取り込み、部屋を明るくし、心地よい風を通します。
温かく、涼しい室内環境を整えると同時に、その開閉の作業さえも愛おしと感じられるよう、デザインにもこだわる。
いつまでも、わが家の窓はこんなに素敵なのだと、誇らしくもなれるものです。

経年変化や自分たちの暮らしに寄り添う自然素材

たとえば10年後、20年後、入居時よりもかっこいい家であるためには、その美しさを維持することが不可欠です。
しかし生活の中で傷や汚れは避けられないものです。だからこそ本物の素材を使うことで、傷などは歴史や味わいとして魅力に変わり、色に深みを増していきます。

また、補修できるものを選ぶことによって、適切なメンテナンスを続けることができるようになります。そのために、メンテナンスがしやすいことはもちろん、メンテナンスしたくなるよう、美しく、お気に入りになっていただけるものをオススメしています。

Passive house ゼロエネルギーへの備え

「寒くない」は贅沢ではない

皆さんは、ご自宅の部屋の温度を知っていますか?
温暖と言われる九州でも、冬場は10℃を切り暖房なしでは過ごせません。日本では最低室温の基準などはありませんが、冬の夜間、室温を18℃に保つことが難しい家に住んでいる人がほとんどです。そして冬場の家庭内での死亡率は交通事故よりも多いと言われています。

しっかりと断熱が施された温かい家では、不必要に着込む必要はなくなり、姿勢が良くなります。また、どの部屋に行くこともためらうことはありません。睡眠の質は良くなり、呼吸器、循環器、血圧などの疾患リスクが低くなります。年間の医療費負担も減ると言われています。
がまんすることが省エネではありません。医療に延命されるのではなく、健康に長生きしていくために、最初に満たすべき条件なのです。

ゼロエネルギーへ向けて

断熱効果が高ければ、外へ逃げ出ていく熱が少なくなります。
また南側の窓は、夏はジリジリとした暑さを遮断したいのですが、冬には立派な熱源としてお日さまの光を取り入れたい部位です。そして部屋の中で温かい空気は自然と高いところへ移動しますので、その効果を上手に利用し、空気を循環させるようにします。

断熱、日射取得、室内の空気の循環をコントロールすることで、冬は暖かくし、夏は涼しく、室内を快適に保ちながら、無理をせずに使うエネルギーを減らすことができます。また、断熱を強化した家では、壁や窓の表面の温度と室温が近くなるので、部屋の中で無駄な空気の対流が起こらなくなり、空調の設定温度を弱めても、必要な体感温度を得ることができ、快適に過ごすことができます。

Priority 「住まい」と「コスト」

考える順番

家を建てるためには、最初にかかる「イニシャルコスト」と暮らしていくためにかかる「ランニングコスト」があります。
建物の省エネ化のために断熱を強化するにはそれなりの費用がかかりますが、無駄なエネルギーを使わなくなった家では、同じ規模の非断熱住宅より、自然と光熱費が安くなります。
また、少しずつメンテナンスしながら長く使える素材は、本物であるために購入時は高くなりがちですが、将来的な交換(リフォーム)の負担が軽くなります。

部屋を仕切る先入観があったためにつけたかったドアは、断熱性が高い住まいでは必要のないパーツかもしれません。
今必要なものはなにか、ステレオタイプから少し離れてみることも、家づくりの大事なプロセスです。

地球へ。子供たちへ。

とりあえずの間に合わせでものを買いそろえることとは、いつかそれを捨てるときが訪れるということです。本質的に良いものを、時間をかけてじっくり選ぶことは、廃棄という無駄なエネルギーを削減することにもつながります。
家づくり全般にも通ずるところで、ローコストな石油化学製品で覆われた住宅は、製造から解体まで、たくさんのエネルギーを消費し、CO2を排出しています。

これからの世代に、過去の社会活動のツケをを払わせることのないよう、素材選びから住まい方までトータルで、地球へ、子供たちへ優しい住まいをご提案したいと思っています。

人のために物を買うわけではありませんが、いざというときに人に迷惑をかけるものを持つのではなく、いつか誰かのためになるものを選びたいと思いませんか。

今ある予算内で全体にグレードを下げながら買いそろえるのではなく、ひとつずつ投資として、資産として、いいものを買うようになるのです。
無駄遣いにならないから。時間もかかり、見方によってはぜいたくな買い物かもしれませんが、不要なものを買わないということは、不要なものが生まれない、ごみが出ない、CO2も出ない。
自分のためだけではない、社会の中でのエコなのです。

良いものが循環する社会がもうすぐやってきます。

Hygge Hyggeを感じてみよう

Hyggeのある暮らし

Hyggeはデンマーク語で、置き換える適切な言葉がないのですが、デンマークを訪れるたびに、行く先々でHyggeな時間を共有させてもらっています。
みんなで食事をしながら、キャンドルを灯して、ゆっくりと時間をかけて話をしたり、大好きなものに囲まれてゆっくり過ごしたり・・・。心がほぐされるような、優しくて温かい、愛おしい時間の過ごし方だと思います。

日本はどうしても気持ちが忙しい感じがします。自分で時間を使っているというよりも、時間に追われている人が多いのではないでしょうか。

だからこそ、わたしたちには暮らしにHyggeが必要だと思います。
好きなものに思いを馳せてみたり、大切な家族とのんびりとブランチを楽しんだり、安心感に溢れるわが家の、落ち着いてゆっくりと時間が流れる居心地のいい場所で、幸せを感じていただきたいのです。

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