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2014Denmark-3 とある家族のおうち
2014年10月15日(水)デンマーク
毎回わたしがデンマーク研修でいちばん感動するのは、
何よりも個人の方の家です。
今回おじゃましたのは、スカンジナビアンリビングの小林さんの旧友のおうちでした。
ご夫婦が購入された建物は、
築80年、30年間放置されていた家を、
ご夫婦で10年かけてリノベーションされたんだそうです。
建築当初のヘリンボーン張りの無垢のフローリングは、
表面を研磨し、新たにホワイトオイルで仕上げ、美しくよみがえっていました。
一度に買い揃えてコーディネートしてもかっこよく仕上がりますが、
スタイルにこだわらないご夫婦オリジナルのコーディネートは、
ご夫婦の人柄がそのままにじみ出ていてあたたかく、
外国の、全く知らない人の家であるにも関わらず、
思わず気持ちがくつろいでしまうので不思議です。
シーリングライトに頼らない照明計画も、大好きです。
テーブルスタンドをあちこちにおいて、
光の重心が下がった空間は、
カラダにダイレクトに働きかけて休息を与えてくれる気がします。
小屋裏部屋も十分な広さがあるので、
家具の配置等に悩まされることなく、
天井高の低い部分まで有効活用されています。
デンマークに建材や家具を注文すると、平気で納期が3、4か月かかります。
そして、いいものを手に入れるためなのだから待つのは当然、といったふうに説明を受けます。
いつもなら、日本の市場にはちょっとツライなと思うところなのですが、
こんな家に出会うと、
わたしはそんなに毎日急いでいたのか、あせっていたのか、
もっと目を向けるべき大切なものがたくさんあるのではないかと、
泣きそうな気持ちになるのです。
決してデンマークの時間の流れが遅いわけではないのに・・・。
気づかないうちに当たり前を頭で決めて、それでいいと思い込み、
盲目になっているのかもしれません。
旅はとにかく、写真に収めることに必死になりがちです。
でも、ひとたびカメラを持たずにいたら、
この記憶を、一生懸命に心に焼き付けようと、
感性の受光部が広がるように感じることがあります。
Hyggeにあふれた家づくりは、
あるのが当然だから選ぶのではなく、
心が向くものを探す、
そんなところから始まっているのかもしれません。
毎日うっかり忘れがちな心のレンズで、
本当に大切なものをしっかりと見つめられる、
そんな自分になりたいと思います。
2014/9/30 naka