施工事例Case
北欧の「豊かな家」に憧れて、
フーセットとの家づくりを選びました
建物概要
- ご住所:
- 福岡県福岡市
- 竣工年月:
- 2022年5月
- 延床面積:
- 136m²
- ご家族構成:
- ご夫妻、お子様3人
福岡市早良区西新と、野芥を繋ぐ早良街道。その南西に位置する干隈エリアは、生活に必要な施設の多くが徒歩圏内に揃う、便利で閑静な住宅地です。今回訪ねたのは、その一角に2022年初夏、完成したN邸。竣工から約1年。フーセットの家の住み心地は、さて、いかがでしょうか?
これまで、私たちが住んでいたのは、「貧しい家」!?
中学生と小学生、合わせて3人の子育て真っ只中のN家。この日、お兄ちゃんは体育祭の練習で不在でしたが、元気な姉弟と、Nさん夫妻が迎えてくれました。
一家は以前、夫妻が結婚した当時に購入した中古の一軒家で暮らしていましたが、築年数が20年を超え、子どもたちの成長を考えると今後、手狭になることは必至。「リフォームをするか、住み替えをするか」、じっくり考えた上で、もう少し大きな土地を見つけ、新しい家を建てることにしたのです。
「じゃあ、どんな家がいいだろう」。
Nさんの頭にまず浮かんだのは、北欧を度々訪れている知り合いのカメラマンから聞いた話でした。「北欧の人は、家が古いとか、狭いことで貧しさを感じるのではなく、家が寒いことで貧しさを感じるんですよ」。すぐに、「それって、今のうちのことじゃないか」と感じたというNさん。もしも次に家を建てるなら、「暖かく、豊かな家」を目指そうと考えました。
様々なリサーチを経て、N家はある大手メーカーと家づくりを始めます。ところが……。「白い塗り壁に、無垢材の床。ごくごくシンプルだと考えていた自分のリクエストが、全て“オプション”でしか叶わないことがわかったんです。機能的なコンパクトカーをオーダーするつもりが、気がつけばフルカスタムしたスポーツカーになってしまったような……。『これは違う』と思いました」。
そこで仕切り直し、改めて自身の思いをまとめた上でビルダー探しを開始。出会ったのが「フーセット」でした。暖かな北欧の家と、そこで育まれる暮らしにまで思いを寄せた会社で、Nさんが求める床材・壁材を標準仕様で取り入れているだけなく、高い優先順位にあった断熱については、充填断熱に加え、ドイツのアルセコ社の外張り断熱システム外壁を提案。厚さ約8cmの断熱材で家をすっぽり覆うように施工し、年間を通して春・秋のような快適な住環境を作る断熱システムで、原料は、玄武岩を超高温で繊維状にした断熱材「ミネラルウール(別名:ロックウール)」。通気性、耐火性、耐震性も優れるものでした。
外からの光が塗り壁に美しい陰影を作るリビング
「価格は通常の断熱と比べると少しだけ上がりましたが、長い目で見ると、この買い物はきっといい結果を生むと思いました」と、Nさん。その思惑通り、アルセコ外張り断熱システムを採用したN家は、「暖かく、豊かな家」を手に入れることとなったのです。
「正直に言うと、うちは玄関からリビングにかけてオープンで、2階も開放的な間取り。家が建つまでは、『本当に?本当に寒くないの?』と、疑ったこともあります(笑)。でも実際に暮らし始めると、それは大きな間違いだと気づきました。年中快適な上に、特に効果を感じるのは冬場。リビングのエアコン1台で、家じゅうの暖房が叶う上、スイッチを入れている時間も極端に短いんです。設定も22℃で十分」。夏場は冬よりやや稼働時間が長くなるものの、前の家に比べると格段に快適、とのこと。
中心の開口部の左手がすぐ玄関。右手パントリーや階段下のスペースにも扉は設けず、開放感を優先した
エアコンはリビングに1台。「2016年製と少し型も古いのですが、高断熱な家のおかげで、十分快適に過ごせています」。
イメージは、機能的でデザインが秀逸な北欧の学生寮
1階はLDKと水回り。2階には5人それぞれの個室に加え、フリースペースを設けたN邸。けれどここに着地するまでには、かなりの紆余曲折があったのだとか。
「前の家より土地が広くなったとはいえ、倍になったわけではありません。その中で、3つの子ども部屋と、私たち夫婦の個室を取る必要があり(N夫妻は共働きで、コロナ禍のリモートワークで、それぞれの個室が必要だと実感)、フーセットさんには、建ペイ率を最大に使いながら間取りをご提案いただきました」。
最終的なものにたどり着く間には、1階に和室を作る案も飛び出したそう。「そんな時は、ライフスタイルを一つ一つ吟味し、変更していきました。今思うと、フーセットさんの提案を信じて良かった、と納得できることばかり。例えばリビングの開口部は、履き出し窓ではなく腰窓にするなど、“当たり前”を踏襲するのではなく、わが家にとってベストなスタイルを探ってくれました。リクエストを汲みながら、できること、できないこと、こうしたらもっと良くなることを、いつも建設的に提案してくださったな、と思います」。
なおLDKについて、Nさんが取り入れたかったというイメージは、「デンマークの大学の学生寮」。中心に大きなアイランド型のシステムキッチンがあり、その周りを皆でワイワイ取り囲む雰囲気が憧れだったそう。スペースや動線の問題で、片側を壁に接着したペニンシュラ型にはなったものの、フルオーダーした奥行きのあるキッチンは、夫妻が望んだように、子どもたちがキッチンに立つきっかけを育んでくれています。
白と木目の空間に、モダンなキッチンが映える
他にも、リビングの一角に造作のテーブルとオープンラックを設けたスタディコーナーや、そのそばの階段下を活用した書斎、アルバムや本をまとめて収納する大きな本棚を備えた2階のフリースペースなど、N邸には家族が顔を合わせながら過ごせる場所が、家のあちこちに散りばめられました。
リビングの一角のスタディスペース。続きで、ソファ代わりのベンチになっている
階段下を活用した書斎。LDKの細々したものを収納するための造作棚
2階フリースペースには壁一面に本棚を。ちなみに右手のスチールの手すりは、家族のシーツや布団を干すのにも大活躍しているそう
好きなディテールを加えながら
信頼できるビルダーとコミュニケーションを取りながら、理想とする空間を手にしたNさん。ダイニングには、家のシンボルアイテムとして、北欧デザインを代表する照明、ルイス・ポールセンのPH5を取り入れました。玄関脇の外壁にも、北欧の照明のひとつ、フリントウォールを。今は控えめですが、お子さんたちが巣立った後は、N さんが親しみを持っているというアルネ・ヤコブセンや、ハンス・J・ウェグナーといったデザイナーのアイテムが、少しずつ、増えていくのかもしれません。
毎日目につくところに、大好きな北欧デザインのアイテムを
ブラケット照明はフーセットの提案。シンプルな外壁に表情が加わった
さて、N邸の自慢の白い壁は、その大部分を、フーセットのアドバイスに基づきながら家族全員で塗り上げました。その面積、なんと700平方メートル! また壁塗りはもちろん、床のお手入れなど、家のメンテナンスもできるだけ自身でできる仕様になっています。「先日、階段にモノを落としたところが少し凹んでしまったのですが、水を吹き付け、アイロンを当てて復活させました(笑)。無垢材だからこそ叶うことです。こうやって修復できるので、子どもたちに『あれしちゃだめ』『これしちゃだめ』と言う機会もほとんどありません。子育てもしやすい家です」。
最後に。「これから、楽しみにしていることは?」という質問に、「ベランダの活用です。今は子どもたちがズラッと恐竜のおもちゃを並べているんですが(笑)、今後は、私たち大人がコーヒーを飲んでくつろげるような、そんなスペースにできたらと思っています」と、Nさん。隣に座る奥さまと一緒に、この家の今とこれからを嬉しそうに語ってくれました。
取材・文/鹿田吏子