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「いつか、こんな家で暮らしてみたい」
その夢が、12年越しで叶いました。

建物概要

ご住所:
福岡県北九州市
竣工年月:
2021年10月
延床面積:
71m²
ご家族構成:
ご夫婦

近年、「住みたい街」としても注目されている福岡県北九州市。今回紹介するのは、その中心地・小倉にアクセスしやすい住宅地にマンションを購入し、リノベーションを行ったSさんの家です。

旅で滞在した、北欧インテリアの部屋に憧れて

築20年、約71平米の1室は、もともと3LDKだったものを前オーナーが2LDKにリフォーム、さらに今回、Sさんがオーナーとなってスケルトンから1LDKに。スチールの扉を2カ所に入れた、モダンな空間に生まれ変わりました。

「今から12年ほど前になりますが、旅先で宿泊したホテルがとても素敵で。当時ではまだ珍しかった北欧風のインテリアのホテルだったのですが、すごく居心地が良くて、いつかこんな家で暮らしたいと思っていたんです」(Sさん)

それから時が経ち、家を持つことを決めたSさんが、数々の物件を見て経て出会ったのが、「内見から帰る時、とっても気分が良かった」というこちらのマンション。さらに程なく、雑誌で[フーセット]の家を見かけたのでした。

「私が求めていたのは、モノの代わりに床や壁の素材感、意匠の美しさが際立つ家。[フーセット]が手がける家は、まさに、自分が思い描いていた家そのものでした。すぐに問い合わせをして、事務所に伺って…。家に関しては、12年越しの思いもありましたし、私自身の中にもある程度理想みたいなものがあったんですが、それでも、代表の中西先生の提案には毎回感動させられました。あっ、もはや私にとって中西さんは、中西"先生"。そう呼びたくなる存在なんです(笑)」(Sさん)

細かい仕切りを極力なくしたゆとりある1LDK

コロナ禍でもあったため、リモートでの打ち合わせも活用。「イメージの共有などはリモートでも問題なく進められました。そんな中、具体的な間取りの相談で事務所を訪ねた際、中西先生がササッとスケッチしたイメージ図を見せてくれたんです。そこに描かれていたのは、スチールの扉と、テレビが中心ではない、リビングのコーディネートがなされた空間。『こんな家に自分が住むことになるんだ』と感激したことを覚えています。実は今、ラグやソファは、このイメージ図に描かれた通りに配置しているんですよ」(Sさん)

イメージ図は今、額装されてSさんの家のリビングに

一目惚れしたスチールのオーダー扉を家の主役に

そんなSさんの家の主役は、2カ所に設置したスチールの扉。物理的には空間を仕切りつつ、視覚的にはオープンな印象を与えてくれるこのディテールが、Sさんが望む「明るく、開放感が感じられる家」を実現させてくれました。ちなみにスチール扉はフルオーダー。[フーセット]がオリジナルで手がけたものです。

通常はオープンに。来客時にはカーテンで目隠しを

寝室には、入って左手にウォークインクローゼットが。スッキリした空間づくりは、こうしたさりげない収納によっても叶えられています。また印象的なのが、Sさんが大好きだという、ボルドーワイン色の壁。「こんな大胆な色を選んでしまって大丈夫かしら?とも思いましたが、実際に仕上がると、とても落ち着いた素敵な色に。今では、他の色が考えられないほど気に入っています」(Sさん)

キッチンは、モダンな佇まいに惹かれた『キッチンハウス』のシステムキッチン。初期はアイランドキッチンを希望していましたが、打ち合わせやショールームの見学などを経て、II型に。シンクとクッカー、それぞれのパネルの色は悩んだ結果、ホワイトで統一しました。一角には小さなパントリーを設け、オーブンやレンジ、食材などはそこにまとめて収納しています。

ダイニングには床暖房を入れ、"全体が暖かい家"に

「好きなもの」を輝かせてくれる家

また、Sさんが改めて感動した、と話してくれたのが、グリーンやクリスタルの器など、好きなものが部屋の中で輝いてくれるということ。家全体を包み込む塗り壁が自然光をやさしく反射させながら、モノを美しく見せてくれるのです。ちなみに壁塗りは、[フーセット]の提案で、Sさんやご友人も一緒に施工。「みんなでワイワイ、楽しかったですね。実はところどころ、ポコっとしている所もあるのですが、それもまた味。たまに見つけると愛おしくて(笑)」(Sさん)

新居には新しく、2点のアートも加わりました。モノが少ないシンプルな空間、だからこそアートが映え、日常に彩りが。これも中西さんの提案です。

ダイニングにはカトラン、リビングには清原亮の作品を

「『家づくりは大変よ』と、たくさんの方に聞いていたけれど、私にとっては打ち合わせから完成まで、全てが楽しいことばかりでした。タモの床をソープで洗ったり、新しいグリーンを迎えたり、自分で少しずつ手をかけながら、これからこの家と一緒に、年を重ねて行けたらいいなと思っています」(Sさん)

取材・文/鹿田吏子